坂本はいま、篠原弘樹が艦長を務める〈戦闘空母ヒュウガ〉の航空隊に所属している。 鷹揚で人当たりの良い篠原の指導方針は“必要以上に頭を押さえつけず、ただ生還することの重要性を説く”こと。その“放任”が坂本には合っていたのだろうか。ナンバー1の戦闘機乗りを自認するのは相変わらずだが、「死に急ぐタイプ」からは脱却しつつある。 防大時代、唯一歯が立たなかった男──天才・揚羽武との再会は間近だ。