アリゾナの建造計画は、ガミラス戦争末期に国連が策定した地球脱出計画に端を発する。2190年代後半、ガミラスの遊星爆弾による地球汚染が拡大し、地下都市に避難していた人類の生活圏も脅かされた。地下都市の拡張には限界があり、生存のため人類は地球を離脱する必要に迫られた。国連は各行政管区に移民船建造を命じ、極東管区では「イズモ計画」の下、後にヤマトとなる艦の設計が進行した。他管区に比べ被害が軽微だった極東管区は、比較的順調に内殻の建造を完了させた。やがて、イスカンダルの使者ユリーシャから波動エンジンとコスモリバースシステムの情報がもたらされると、「イズモ計画」は「ヤマト計画」へと統合・転換された。他管区の移民船が未完成である中、極東の艦だけが波動エンジンの搭載に耐えうる段階にあったためである。結果、物資と人員はヤマトに集中、北米管区の移民船建造はほぼ内殻まで完成していたが中止された。戦後、時間断層の活用により、旧型移民船は一時的に放棄されていたが、第四次防衛計画の策定と時間断層の放棄により、アンドロメダ級のような新造戦艦への反対意見が高まり、代替策として旧移民船の転用が再検討された。
この計画の下、建造を再開された艦のひとつが北米管区の移民船であり、宇宙戦艦としての建造計画が立案された段階で「アリゾナ」の名称が与えられた。この際、基本設計を一部変更したものの、初期の設計コンセプトは艦の特徴として残っている。
また、ヤマトが当初、移民船として設計、建造されたことで居住ブロックとして想定された内殻部分が非常に堅牢であったことも、この時代の遺産が再評価される一因となった。
建造を再開されたアリゾナはヤマト型で採用された内殻・外殻の構造をモジュール構造として発展させた。内殻を四つの外殻が囲む形で、上部外殻が甲板部兵装と艦橋塔、下部外殻が艦底部、左右外殻が副砲を備えた舷側を構成する。アリゾナの船体各部は設計から製造までがひとつの塊(モジュール)として行われた。これによりアリゾナは今後、新世代艦が建造された際、モジュールを変更することで新たな技術を盛り込んだ改装を行えるよう、構想されている。
アリゾナの建造は艤装前の段階までを北米の宇宙海軍工廠で行われ、試運転を兼ねて新都へ移送された。新都では南部重工の工廠で艤装作業が行われている。