アスカ級補給母艦アスカは、ヒュウガ級戦闘空母ヒュウガと共に平和路線を謳う第四次防衛計画の下に建造が進められた経緯を持つ。補給母艦型を基本とし、強襲揚陸艦型が存在する形となっている。放棄された時間断層内で建造途中だったドレッドノート級を用途変更した建造されたことから、当初、艦級は「ドレッドノート改級(制式にはドレッドノート改アスカ級)」とされていたが、同型艦の量産により、アスカ級の艦級が軍組織内で制式なものとなった。
量産にあたっては、アスカでは試験的に盛り込まれていた強襲揚陸艦としての機能を主体とした艦の建造も行われており、識別番号は、一番艦のアスカが補給母艦であったことから、奇数番号が補給母艦型、偶数番号が強襲揚陸艦型として割り振られている。量産された艦は内部構造に違いが存在し、例えばアスカは40メートル級の航宙機や宇宙艇の艦載を想定し大きな格納スペースを持っていたが、量産型では廃されている。
補給母艦としてのアスカを特徴づけるのは、波動共鳴導波装置と呼ばれるシステムである。この装備は波動実験艦・銀河でのコスモリバース研究の成果であり、実質的なエネルギー補給機能を持つ。艦首ならびに舷側の波動共鳴導波装置から発する活性波動共鳴波は、対象となる艦の波動エンジン炉心内での余剰次元の展開を促進し、機能低下した波動エンジンの出力を急速に向上させ、エネルギーを回復させる。また、この機能を利用し、波動防壁弾(四式波動防壁展開弾)へのエネルギー供給を行う。
2207年、アスカはグランドリバースの太陽系侵入を受け、内惑星軌道で他のアスカ級補給母艦7隻とともに迎撃にあたったが、阻止作戦は失敗に終わった。対デザリアム作戦『オペレーションDAD』では、地球にいる旧第65護衛隊のクルー回収任務を与えられ、試験運用時から搭載されていた試製次元潜航艇コスモハウンドがその一端を担い、大統領官邸より古代進二等宙佐らを収容した。その後、デザリアムの追跡をかわすため太陽系内を頻繁にワープ移動し、イカルス天文台で山南宙将と合流後には、コスモハウンドはヤマトの第三次改装で拡張された第二格納庫に収容されている。第十一番惑星近海で第11護衛隊の乗員を救助し、地球へ戻る際には艦載されていたコスモパイソンの一部が予備機とともにヤマトへ移送された。これは単艦での作戦行動となるヤマトの航空戦力を底上げする措置であった。
地球へ帰還したアスカはその後、グランドリバースに潜入したパルチザンの撤退を支援すべく、攻撃を行った。
〈活性波動共鳴波と抑性波動共鳴波〉
波動エネルギーは余剰次元の振動により発生し、周囲の余剰次元に対して共鳴現象(波動共鳴)を起こす。共鳴波には「活性波動共鳴波」と「抑性波動共鳴波」の2種類が存在する。
活性波動共鳴波は振動を周囲に伝播・増幅し、高エネルギー状態をつくりだす。波動防壁弾や、波動共鳴導波装置によるほかの艦へのエネルギー供給(他艦の波動エンジン内の余剰次元展開促進)は活性波動共鳴波の機能を利用している。また、波動カートリッジ弾着弾時や波動砲発射時には活性波動共鳴波の増大が惹起される。
抑性波動共鳴波は、余剰次元の振動を抑える方向に作用する波動である。これは、波動共鳴が反対の位相で振動し、余剰次元の振動を相殺する干渉現象によって生じる。抑性波動共鳴波は太陽系内に適宜敷設される波動共鳴機雷原で利用され、余剰次元の展開を利用した艦艇の機関を抑制的な波動共鳴現象によって停止させる。