コスモハウンドは、通常の宇宙空間と亜空間の両空間を航行可能である特殊艇である。この能力により、通常空間と亜空間の領域を跨いでの観測・索敵活動を行うことができる。次元潜航技術はガミラスにおいて実用化されたものが技術供与の形で地球側へもたらされたものである。
安定翼内には、次元境界面の突破と潜航のために、次元潜航艦と同様の多次元位相バラストタンクが装備されている。緊急時にはこれを強制排除することで、通常空間へ浮上することが可能である。本体と安定翼が分離する構造は、コスモハウンドが多目的輸送艇構想をベースとして開発されたことに由来する。
コスモハウンドは「イスカンダル事変」で実戦投入され、その有用性を証明した。事変後は試験艇として各種データの収集が行われ、アスカ級補給母艦アスカの艦載艇として配備された。この際、船体には同じく多目的輸送艇構想を基に開発された〈5式中型輸送艇〉と同等の自衛用武装が設置されている。
「オペレーションDAD」発令時には、アスカから新都の大統領官邸へ向かい、ヤマトのクルーを収容する任務を担った。イカルス天文台でのヤマトとアスカの合流後、コスモハウンドはヤマトへと移送され、ヤマトの艦載艇として、第三次改装で拡張された第二格納庫に収容されている。ヤマトからの発進は、後部左右舷側に設けられた発着口より行われる(波動エンジンとの干渉により、ヤマトの格納庫内での次元潜航・浮上は不可能である)。
〈亜空間〉
亜空間は位相空間論で「開かれた位相空間」と定義されるβ空間で、通常空間(α空間)とは次元境界面によって隔てられている。亜空間は量子エネルギー場が自己干渉を起こし、特定波長で共鳴増幅が発生する特徴を持つ。
亜空間には次元境界面からの深度が存在し、深度が増すほどエネルギー密度が高まり、「次元圧」と呼ばれる仮想的な圧力が増加する。また、亜空間内での移動距離と、通常空間に投影されたときの見かけの距離の間には非線形な関係があり、深度に応じて距離的な誤差が拡大する(UX-01やコスモハウンドが次元潜航で利用するのは浅層部であり、亜空間と通常空間での距離的な誤差は少ない)。
また、亜空間に通常空間の特性を持つ艦艇などを置くと、艦艇と亜空間の量子エネルギー場とのエネルギー差が生じ、エネルギーが艦艇から亜空間へ流出する(逆エネルギー勾配現象)。UX-01やコスモハウンドに搭載されたゲシュ=ヴァール機関は船体を「トロポジカル絶縁状態」とすることで、エネルギーを閉じ込め、亜空間へのエネルギー拡散を防いでいる。