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2024.07.22 SPECIAL REPORT

『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』
初日舞台挨拶レポート


■日時:7月19日(金)
■場所:新宿ピカデリー
■登壇者:福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡秀樹(脚本)
 進行 中村繪里子(桐生美影役)

本編上映後、おそろいの法被姿で登壇した福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡秀樹(脚本)。上映初日を迎え、「長かったですね」と福井がしみじみと語れば、ヤマト監督も「完成するかどうか分からないと思っていました」。さらに岡が「きっとお客さんもそう思っていましたよね。色々ありましたけど、初日を迎えられてよかった。多くの人がこの12年間、ヤマトに寄り添って、観てくださるというのはすごいこと。今日もこんなおじさん3人の舞台挨拶なのに全席完売ですからね」と感慨深い様子を見せた。


本作は、1980年公開の劇場映画第3作『ヤマトよ永遠に』に新解釈を与え、全七章(全26話)のリメイクシリーズとして再構成した作品の第一章。今年は「宇宙戦艦ヤマト」のテレビ放送から50周年という節目でもあり、岡は「50周年に『3199』がスタートするとは夢にも思いませんでした。当初の予定では、もっと早く始まる予定でしたが、ある意味、ベストタイミングに始動できたと言えるかもしれません」と語った。


この日の司会は、桐生美影役の声優を務める中村繪里子が担当。2023年12月に『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が4Kリマスター版で公開されたことに触れて、「これまでずっと(鑑賞せずに)取っておいたんです。艦長の(古代進役の)小野大輔さんが、オリジナルは収録が終わるまで触れないで、自分のタイミングで触れていきたいとおっしゃっていたので、わたしもそれに見習ってずっと我慢していたんです。実際に観てみて、そこには別の宇宙が広がっているんだと感じました」という中村に対して、岡も「やはりオリジナルシリーズで描かれた物語やテーマ、登場人物たちのセリフや思いというのは、リメイクシリーズとしても当然無視はできない。もちろん全然違うものに仕上がっているはずだけど、間違いなく細胞レベルでオリジナルシリーズの登場人物たちの遺伝子や考え方、体験などは受け継がれているはず。そうしようと思わなくても、呪いがかかったかのようにそうなってしまう」とオリジナルへの思いを語った。

その上で「まずは福井さんがストーリーの構成案を書くけど、それをシナリオに直すのが僕の役割。皆さんご覧になっていただいたからお分かりだと思いますが、本作のメインタイトルが出るカットは、原作の『ヤマトよ永遠に』を完全に踏襲しています。福井さんの最初の文章の段階で“完コピ”とありましたから」と明かした岡の言葉に会場は拍手。ヤマト監督も「このシリーズの制作を通じて、基本的には総監督の福井さんがリードしてコンテなどを発注しています。今回、第一章にあたる第1話と第2話は僕がコンテを描いたんですが、福井さんがひとつひとつチェックしていきました。メインタイトルのカットも、原作にタイミングを合わせて、自分で尺を確認しながら、同じように再現しています」と明かした。

第二章「赤日の出撃」は11月22日より上映が決定している。「今回は仕掛けが多いんですよ」という福井は、「もともと原作がビックリ箱みたいな作品なので驚くポイントが多いんですよ。正直これを、もう一度同じタイミングで箱を開けていっても原作の確認作業にしかならない。それは意味がないので。今回は『3199』としてのビックリ箱を用意しています。だから原作で仕掛けられたビックリ箱は、第二章の早い段階で全部開けちゃいます」と宣言。それを聞いたヤマト監督は「そのたびに、ひとつひとつの設定をつくったり、カットの材料をたくさんつくっていかなきゃいけないので。次々と出したら量が増えちゃって」と苦笑い。福井も「第一章はアイドリングなので、第二章からギアを上げていきます」と意気込んだ。

そんな第二章について「少しでも早く第二章に触れたいと思っているヤマトファンの皆さまにとって11月22日は待ち遠しいですよね……」と中村が期待を寄せるも、まだまだ膨大な作業が残っているというヤマト監督は苦笑いで「もう、すぐですよ」と返して会場は大笑いとなった。


最後に第二章を読み解くためのキーワードとして、「波動カートリッジ弾、アルフォン、水色の……、グロデーズ……そんなものが下りてきました」といった具合にヒントをいくつか挙げた岡。続くヤマト監督は「『3199』から制作体制が変わりました。それによってスタッフが入れ替わったりもして。それらの模索がいい風に発揮されています。第二章からヤマトが登場するということで、第二章の方がCGの制作期間も長く、その間に何度も積み重ねてつくられた動きになっています。ひとつひとつ、ドラマもキャラクターも合わせて楽しんでいただけたら」とメッセージ。

 そして最後に福井が「今は作画でつくる、メカもののアニメが少なくなっています。今、宇宙もので、作画でアニメをつくるというのは本当に大変な状況になっていて。作れる人が少ない。そういう中でも、一定以上のクオリティをやることを何とかやっていかないと、このジャンルが滅亡してしまう。そういうことに対するREBEL(抵抗)でもあります。長い航海がはじまりましたが、引き続き応援よろしくお願いします」と決意を語った。

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