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2024.11.25 NEWS

「第二章 赤日の出撃」初日舞台挨拶レポート


日時:11月22日(金)
場所:新宿ピカデリー シアター1
       
登壇者:
福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡 秀樹(脚本)
中村繪里子(進行/桐生美影役)

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本編上映後、大きな拍手とともに入場してきた福井は「今回ほど完成しないんじゃないかと思ったことはなかった。スタッフが本当に頑張ってくれて、滑り込みセーフでBlu-rayも劇場に並べることができました。1カ月半前の状況から考えると夢のようです」と安堵の表情。

ヤマト監督も「第二章のコンテ自体は、昨年の5月とか6月にはできていたんですが、そこから1年半。こんなに困難があるとは……。いろいろなことがありましたが、引き続き精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いします」と続けると、岡が「上映初日というのは何回も体験していますが、今日の初日は今までで一番緊張しています。ご覧になっていただいた方はお分かりだと思いますが、“あんなこと”で終わりました。ボロボロです。この先どうなるかと皆さん気にされていると思います。なんでこんなに痛めつけるんだと思われるかもしれません。でもきっと光が見えてくると思うので。第二章を何度も観たうえで、第三章を楽しみに待っていていただければ」と呼びかけた。
 
本作のエンディング主題歌「Reach for the Star」を歌うのは、主人公の古代進役の声優・小野大輔だ。「この楽曲には本当に助けられましたね」としみじみと語る福井は、「もともと小野さんに主題歌をお願いしたい、というお話しはあったんですが、どの章で歌っていただくかまだ決まっていなかった。ですから今回、第二章で歌っていただけたのは天恵でした」とコメント。進行の中村繪里子も「ヤマトは古代さんにも支えられていますし、小野さんにも支えられていますね」と感慨深い様子で語った。

そして今回の第二章は、より多くのキャラクターが登場する群像劇となっている。そのことに対して福井は「シナリオの頭には、流儀として全登場人物の名前を書くんですが、その名前だけで4ページという尋常じゃない数となりました」と語りつつも、「もちろん古代進を中心にしていますが、今回は群像をしっかりと描きたかった。しかもそれがヤマト艦内のみならず、地球であったり、これからヤマトが向かう先であったりと。さまざまなところに人を配置して、ヤマトの宇宙全体が息づいていることをハッキリと見せたいなという思いがありましたが……それにしても多過ぎですよね」と笑ってみせた。


ヤマト監督はそんな作品をアニメするにあたり、「お客さまの中には(シリーズを)ずっと観てきた方も、今回はじめて観るという方もいらっしゃると思います。どちらでもきちんと楽しめるように、どんなキャラかまだ分からなかったとしても、そのキャラが何をしているのか、何と向かい合っているかは分かっていただけるよう心がけました」と語るも、「ただその分、作画のハードルはどんどん高くなってきてしまう。キャラクターがずらっと並んでいるような、引きの画面が増えてしまった。皆さんからすると気にならない何気ないシーンも、我々からすると本当にゾッとするようなカットで。本来なら現場からはキャラのアップで済ませてくれ、背景で済ませてくれと言われがちなところも、作画の方にとっては大変でしたが、きちんとお願いしてやっていただきました」とそのこだわりを振り返った。

一方、『宇宙戦艦ヤマト2202』シリーズから福井とタッグを組んできた岡に、あらためて「“福井ヤマト”の魅力とは?」といった質問も。それには「やはり刺さるセリフということですかね。たとえば今日ご覧になっていただいた第二章の冒頭でも、補給母艦アスカの艦内通路をボロボロになった古代が歩いていて。北野艦長とすれ違う場面がありました。あそこで『時に背負いきれない重荷を背負わされるのが人生です』ともっともらしいことを言い出すわけですが、その後が刺さったんですよ。『そんな時は膝をついたっていい。でも艦長は駄目です。部下に背中を見られている間は、特に』というね。今日はたくさんの大人が駆けつけてくださったと思いますが、皆さんにもそれぞれの場所でそれぞれの立場があると思います。北野艦長のセリフが僕同様に刺さった方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう?」と尋ねると、会場からは拍手が。だがそこに福井が「我々は膝をつきまくりですけどね」と付け加え、岡が「まさかこのセリフがブーメランになるとは」と返すなど、そんなやり取りに会場は笑いに包まれた。


第二章から、古代の姪であるサーシャが子供の姿で登場する。前作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の最後に赤ん坊として肉体を得て“誕生”した、という経緯がある。彼女の設定について岡が「『2205』でイスカンダル星が消滅した日が何年何月何日だったのかを考えた時に、あそこがサーシャの“人としての”誕生日となった。そこから1年11カ月15日くらい経ったのが今回の第二章なんです。だから戸籍上は1歳11カ月」と説明。そこに補足するように福井も「サーシャが誕生したとき髪がフサフサだったと思うんですが、生後半年くらいの状態で体を得ているんです。なので正しくは二歳半。と考えると、あのくらいかなと思います」と、裏設定を解説。

第三章の予告編では、さらに成長したサーシャの姿が映し出されていたが、「それについては何も教えるつもりがありません」と福井。岡も「個人的な感想をいうと、(原作と違う年齢の)サーシャが幼い姿でいきなり登場することに、皆さんがどんな風に受け止めてくださるのかドキドキしていましたが、皆さんものすごく順応性が高くて。温かく迎え入れてくださった。それは(キャラクターデザインの)結城信輝さんのデザインのすばらしさにも助けられたのかなと思いますが、新しいサーシャを受け入れてくださって救われました」としみじみ語った。そして最後にあらためて福井が「第三章は4月11日上映開始。全力を尽くしていくのでよろしくお願いします」を観客に向けて決意を語った。

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