
■日時:10月10日(金)21:00~21:30(上映後舞台挨拶)
■場所:新宿ピカデリー
■登壇:福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡秀樹(脚本)
中村繪里子 (司会/桐生美影役)
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第四章を鑑賞したばかりの観客を前にした岡は開口一番、「第四章が上映して、うれしさが半分、怒られないかなというドキドキ感が半分です。サーシャは皆さんの思いが強いからハードルが高いんです。果たしてそれをうまく投げられているのか。ドキドキはいまだに続いています」と緊張ぎみにあいさつ。続くヤマト監督は「ようやく全体のシリーズの半分。なんとかここまでこれて、安心半分というところです」と安堵の表情を見せた。
さらに福井総監督も「毎章、言いたくないんですが、よく間に合ったなと。今回もギリギリでしたね」と続けると、「しかも第四章の最後には“とある大きいもの”が出てきましたけど、次章はあれと戦わないわけにはいかないので、カロリーがものすごい。だけどさすがにわれわれもこの第四章までで学びました。前からつくっておけばいいんだと。毎回、公開初日は次章の画はほぼ真っ白、というのが常だったんですが、今回は第五章の4分の1ができているんで。次はご安心ください!」と会場に呼びかけると、司会を務めた桐生美影役の声優・中村繪里子も「皆さん、ご安心ください。あと4分の3をつくればいいだけですから。あぁ、よかった!」と笑顔をみせた。

そんな第四章の見どころとしてヤマト監督は、ガミラスの新たな故郷・ガルマン星や北海道といった「今までに無かった場所」を挙げる。「新たにレイアウトやカットの素材を発注していくんですが、その時にどうやってイメージをすり合わせていくか。いろいろと手間をかけましたが、皆さんの協力をもとにつくりあげ、ようやく皆さんにお見せできるようになったわけです」。
だがそうやって苦労してつくりあげた、いくつかの場所は、物語の展開のなかで登場しなくなっていく。福井総監督が「前回つくった小学校はどこに行ったのか……美術館も出てきたと思ったら爆破されてしまうし……」と嘆くことしきり。それは本作へのこだわりの強さゆえだが、ヤマト監督とともに「ロケまでしたのに……」「一生懸命つくったのに……」と繰り返される嘆き節に、会場も思わず笑いに包まれた。
さらに脚本を担当した岡も今回の『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の物語が生まれるまでのこだわりエピソードを明かす。岡によると、2020年には福井総監督の自宅で主要スタッフによるアイデア会議が行われ、非常に分厚い議事録ができるほど大量のアイデアが出されたという。しかし、その後プロジェクトは一時中断して2022年に制作が本格的に再始動した時には、当初の内容は福井総監督によって大幅に変更されていたとのことで、「その時に僕らが全然知らない話が出てきたのですが、それが今皆さんがご覧になっている『3199』なんです」と岡が明かすと会場はビックリ。「たぶん皆さんは今、『デザリアムって何?』とか戸惑ってらっしゃると思うんですが、僕らは2022年にそれを体感しているんです」と笑った岡は、「それが福井マジックなんです」と付け加えた。
次なる第五章はどのようになるのだろうか。福井総監督は、本作のラストに姿を現した“巨大な何か”について言及。「めっちゃでかいのがいたじゃないですか。あれ、全長70kmは下らない大きさなんです」と明かすと、岡も「70kmというと、だいたい房総半島から静岡まで。だって内部をコスモタイガーIIが飛び交うわけですから。そのためにはそのぐらいでかくないとダメなんです」と補足するなど、第五章は規格外のスケールで物語が展開されるであろうことが示唆される。
さらに岡は、最初のアイデア会議で「これだけは絶対にやろう」と決めていたことについて明かす。それは「アルフォンと古代を対面させること」と「中間補給基地攻略作戦」だったとのことで、これに対して福井総監督は「その両方を一気に解決できるのが次章ということになります」とファンの期待を煽った。
そして最後にメッセージを求められた岡が「宇宙戦艦ヤマトというのは歴史がある作品です。『ヤマトよ永遠に』と『宇宙戦艦ヤマトIII』という40年以上前の原作をいただいて、みんなでつくっています。観客の皆さんにはようやく半分までお返しできたかな、という気持ちでいます。ここから広がった物語がどういうふうに閉じられていくのか、まだまだ色んなことが起きます。最後までぜひお付き合いください」と語ると、ヤマト監督も「まだまだ制作現場の戦いも続くんですけど、画面としてもその危機をどう解消していくか、それにどうやって対応していくか。これからもシリーズは続きます。まずは第四章を楽しんでいただき、どうぞ引き続き応援よろしくお願いします」と呼びかける。
そして最後に福井総監督が「原作『ヤマトよ永遠に』には、有名な『ワープディメンション』というものがありました。映画の途中で画面の比率が変わって、ビスタサイズからシネスコサイズという横長の画面に変化する。それはつまり物語が途中から壁を乗り越えて、自分たちの視点が広がっていき、我々にグッと近づいてくるという感じだったのですが、それに匹敵することが第五章のラストで起こります。どんなことになるのか、ぜひ楽しみにしてください」と観客の期待をあおった。


