■日時:10月30日(金)※上映後舞台挨拶
■場所:新宿ピカデリー
■登壇者:福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡 秀樹(脚本)、中村繪里子(桐生美影役/進行)
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本編上映後、岡とヤマト監督、そして福井総監督が法被姿でステージに登壇すると、満席の会場からは大きな拍手が鳴り響く。そんな会場の様子に晴れやかな顔を見せた岡は「皆さんの心の中にある『ヤマトよ永遠に』と、ちゃんと結び付けているような作品になったかなと思い、とても気になっています」と語ると、ヤマト監督も「最後の最後までいろいろあったので未だに本当に完成したのかと思ってしまうくらいです。ホッとしています」と安どの表情。
そして久々に水色の法被姿で来場した福井総監督が「作品を作るときには、だいたいもうひとりの自分が外にいて、客観的に物事を見ながら作業を進めているんですが、第七章はそのもうひとりの自分が機能しなくなってしまって。最後の最後まで何回、編集をやり直したかわからないくらいだった」と最終章に対するプレッシャーを明かすと、「だから完成披露の時は、こんなふざけた格好ではいけないと思って、Tシャツ姿だったんですが、それから皆さんからいろいろとお声がけいただいたおかげで、今日はこんなふざけた格好で来られるようになりました」と笑顔を見せた。
本作の最終話(第26話)のシナリオが完成したのは、およそ3年前となる2023年の暮れのこと。脚本の岡は、「台本が出来上がった段階で、とてもいいぞ、という手応えを感じていた」と語る一方で、「でもアニメーションは画面がすべてだから。これだけの要素がちゃんと仕上がって、全くストレスのない状態で皆さんに見ていただけるものになるのだろうかという恐怖もあった」と当時の葛藤を吐露するも、実際に完成した映像を観て「やればできるじゃん!と思いました」と冗談交じりに絶賛。「ヤマトさんたちは本当に大変だったと思います。無事に仕上がって本当に良かったです」とねぎらった。
最終章ゆえに、多くの要素が盛りだくさんとなった第七章のシナリオについて「プロデューサーに、このボリュームで大丈夫ですか? と話したんですが、最後だからこのボリュームでいきましょうという話になって。そこは否定してくれよと思いましたけどね」と笑ったヤマト監督だったが、福井総監督は「毎回あまりにも言われ慣れてるんで気にもしなかった」とこともなげにコメントし、会場を沸かせた。
ヤマト監督も「本来、画面を組み立てる人たちには、完成映像がこうなるので、ここに力を入れてほしいとか、いろいろと説明してから作業に取りかかるので、完成してから変更させると話が違うじゃないかと言われてしまう。だからそこはこういう理由で変更することになったんです、と説明をさせていただいて。その上で皆さんに頭を下げて、なんとか対応してもらった」と語ると、福井総監督も「本当にここまで付き合っていただいた皆さんには、感謝の言葉しかない。ここに立っているおふたりを含め、本当に皆さんにありがとうございました」と感謝の思いを述べた。
本作のエンディング主題歌は、八神純子が歌唱する「遥かへ、永遠へ」。1980年に公開された『ヤマトよ永遠に』の名曲「新銀河誕生」をベースにアレンジした楽曲となる。ヤマト監督と福井総監督は、八神のレコーディングにも立ち会ったというが、「これだけのキャリアの人だけど、全然変わっていない。レコーディング中もいろんなアイデアを出してくださって。曲と作品に寄り添ってくださった」と感謝の思いを述べる福井総監督だった。
さらにヤマト監督が「シリーズでエンディングに歌詞がついたのははじめてじゃないでしょうか」と語る通り、本作のエンドクレジットには「遥かへ、永遠へ」の歌詞がテロップで表示されている。福井総監督によると、作詞を担当した松井洋平氏は当時、子どもが生まれて間もない時期だったとのことで、仮でつないだ本編を鑑賞して、本作クライマックスにおける“とある人たちの悲しい運命”に怒りと哀しみの感情を抱いたという。そしてその勢いのままに、あの歌詞を書き上げたとのことで、「そうした思いがこもっているなと思いましたし、この(歌詞が)作品を最後に閉じてくれるなと思ったんで。急きょ歌詞のテロップを入れることになりました」と明かした。
そんなイベントの時間も終わりに近づき、岡が「つくり手側にいる自分がこんなことを言っちゃいけないんですけど、今回は奇跡の一本なんじゃないかなと思っています。繰り返しかみ締めていただけたら」と呼びかけると、ヤマト監督も「最後の最後までお付き合いしていただき、楽しんでいただけたら」とコメント。
そして最後に福井総監督が「よく『信念を持って生きろ』と言われると思うんですが、今はインターネットやスマホを通じて、その信念が簡単に利用されてしまう。われわれはそういう時代を生きているんだ、ということを、少しでも作品に込められたらと思って作りました」と言及すると、「だから信念を持たなければいい、ということではなく、われわれは信念の持ち方に気をつけて生きていかなきゃならない時代にいるんだなと。これから5年、10年と経った時に『あんなアニメがあったな』と思い出して、心の片隅に置いていただければ」と締めくくり、会場は温かな拍手に包まれた。


